突然ですが、みなさん「王様のレストラン」というドラマを覚えていますか?
1995年放送ですから、もう30年以上前……(遠い目)。
当時の私はワインのワの字も知らないワイン童貞だったので
「平井堅のデビュー曲のドラマ」ぐらいの認識でしたが、
ソムリエ資格を取得後、30代の頃に勤めていたフレンチレストランでは、
この作品がもはや「聖書(バイブル)」扱い。全スタッフが神と崇めておりました。
何より、当時の山口智子さんがまぁーーー可愛いんですよ!
(いや、今もお美しいのは百も承知ですが、あの頃のキラキラ感といったら!)
ドラマとしても三谷脚本のプロトタイプ的な完成形ですが、
飲食の現場にいた身からすると
「あ、これ解ってるな」っていうリアリティが画面の端々に宿っているんですよね。
アニメでもドラマでも「神は細部に宿る」なんて言いますが、
そういうこだわりがある作品こそ、
令和になっても語り継がれる名作になるんだろうなぁ、
なんてのが私の持論です。
というわけで今回は、
劇中に登場する数々のワインについて、
元プロの視点(とお遊び心)で解説してみたいと思います!
なぜ、いま、このタイミングで?
と思われた方、わかります。
いえ、ただ単に部屋の片づけをしていたらDVD-BOXが出てきたからです。
あまり意味がなくてすいません。
モンラッシェ(MONTRACHET)
〜「脱帽して跪くべき」白ワインの最高聖地〜
「ル」という冠詞を付けて呼ぶときは、
泣く子も黙る**D.R.C.モンラッシェ **のことです。
「モンラッシェ」と名の付く畑や作り手は数多ありますが、
D.R.C.の(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)それは別格中の別格。
……って、千石さん! 人のおごりだと思って、
それを所望するのは図々しすぎませんか!!?(笑)
放送当時はまだ数万円で手が届いたかもしれませんが、
令和の現代では……なんと**「7桁(100万円超え)」**ですよ!?
今なら「悪いんですが他のものにしてくれませんか」と即答するレベルです。
「ラ・ターシュ」なんて単語もセリフに出てきましたが、
これもお財布への攻撃力がハンパない銘柄です。

シャンベルタン(CHAMBERTIN)
〜ナポレオンが愛した「王のワイン、ワインの王」〜
皇帝ナポレオンが遠征先でも欠かさず飲んだという逸話はあまりに有名です。
このワインが登場するのは、(名前だけですが)
金田昭夫さん演じる横柄な客が
「俺が飲んだのはもっと安いシャンベルタンだ!」と暴れて追い出されるw
スカッとする場面。
ここでソムリエ役の白井晃さんが
「それはジュヴレ・シャンベルタンでございますね」とすかざず切り返すのですが、
これがワイン初学者が「ややこしい」とぶち当たる「村名・畑名」の壁!
ヨーロッパのワインは、産地の範囲が狭まるほど価値(と価格)が上がります。
私の師匠的存在である修善寺の酒屋の奥さん(わかる人にはわかる、あの方です)
は、こう例えていました。
「『世田谷』と言うより、『田園調布』と言ったほうが高級感あるでしょ?」
これ、妙に腑に落ちたんですよね。
しかし! その「庶民派(?)」なはずのジュヴレ・シャンベルタンでさえ、
今や安くても8,000円は下りません。私が勉強を始めた頃は4,000円くらいだったのに……。
今からワインの勉強を始める若い子たちは、
お財布事情的にもホントしんどい時代になったなぁと同情しちゃいます。

シャトー・ラグランジュ(CHATEAU LAGRANGE)
〜日本の情熱が蘇らせた「不屈のサントリー・ボルドー」〜
暴れる客に「シャンベルタン」の代わりにお勧めされたのがこちら。
劇中では千石さんの活躍に隠れて影が薄いですが、
実は数少ない日本人所有(サントリー)のボルドー格付けシャトーです。
1984年からサントリーが買収して劇的な復活を遂げたことで日本でも人気が爆発した銘柄。
メドック格付け3級ながら、その品質は2級に匹敵するとも言われます。
劇中のレストラン「ベル・エキップ」の再建物語と、
ラグランジュの復活劇はどこか重なる部分がありますね。
劇中の備品にサントリーの箱が見え隠れするあたり、
大人の事情……もとい、メタ的な意味でも推しワインだったんでしょうね。

シャトー・ラフィット・ロートシルト(CHATEAU LAFITE ROTHSCHILD)
〜筆頭の座を譲らぬ「ボルドーの真なる至宝」〜
禄郎さんが「ラフィット」と軽く言っているこのワインは、
メドック格付けの筆頭に挙げられ、ルイ15世の寵愛を受けた「王のワイン」。
こちらは4話と5話にも冒頭で飲み残しとして出てきます。
劇中で本物のボトルを出してくるあたり、
当時のフジテレビはお金持ってたんだなぁ……としみじみ。
当時は5万円くらいで買えたこのボトルも、今や立派な高嶺の花です。
ちなみに、
「ロートシルト」を英語読みすると「ロスチャイルド」。
そう、あの陰謀論やフリーメイソンで有名な、あの一族です。
一時期ワインの方はフランス語読みに寄せた
「ロスシルド」や「ロッチルド」などと言う呼び方もありましたが、
本来この一族はドイツ系であるため、
現在ではドイツ語読みの「ロートシルト」という読みが日本では主流なようです。
シャトー・マルゴー(CHATEAU MARGAUX)
〜「ワインの女王」と称される華麗なる貴婦人〜
こちらも格付け1級。
5大シャトーの中で最も女性的で、華やかな香りを放つと言われる名酒。
「失楽園」で一躍一般層まで名前が知れ渡ったワインですね。
……って、今の若い子には「失楽園」も「川島なおみ」も通じないんでしょうね。
ジェネレーションギャップが怖い!
ただ、劇中のボトルはちょっと怪しかった(笑)。
ラベルの感じが「ん? 本物かこれ?」と。
映り方が一瞬だったので野暮なツッコミかもしれませんね。
セラーの並びもラフィットと近い産地なのに結構離れてるなぁとか
高級銘柄とデイリーワインがごちゃ混ぜにおいてあって、
見る人が見れば「ひぇっ!」となる配置でした。
それにしても注文されたのが「ラスカーズ」じゃなくて本当に良かったですね。
あれを教えられずに初見でこれだ!となる日本人はまずいないですから。

といったところで、まずは第4話までのワインたちでした。
このドラマ、後半に進むにつれて人間模様の描写が濃くなり、
レストラン描写(とワインの出番)が減っていくので、
中途半端に見えるかもしれませんが、ここら辺が中間地点です。
まだまだいろんなワインが出てきますが
「それはまた別のお話…」

2026年 3月 29日 桜状況



今年は大沢の方が開花が良いようです
那賀バイパスがイマイチだな~と思った方、そちらまで足をのばしてはいかがですか?
近くの花の三聖苑に車を止めて歩いて0分です。




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