知らなかった地名 ― 伊豆・松崎町「峰輪」の話

峰輪

父の相続と気づき

父を亡くして10年。 

40代で相続の手続きをする中で、

初めて知ったことがあります。

うちは伊豆半島の南端、

松崎町の山奥に小さな土地を持っています。 

……いや、自慢じゃありません。

正直、こんな田舎の山林なんて、

二束三文でも買い手がつきません。

実際、登記簿の評価額もほとんどゼロに等しいんです。

祖父が通った「いわぎ」と「たけやま」

思い出すのは、

私が小学生だったころ。 

まだ元気だった祖父が、

よく「いわぎに行ってくる」

「たけやまに行ってくる」と言って

畑に出かけていました。 

当時の私は、「いわぎ」は入り口の大岩の近く、

「たけやま」は竹林のある場所だから、

そう呼んでいるのだろう、

程度に思っていました。

まるで愛称のように。

登記簿で出会った正式な地名

それから時が過ぎ、

中学生のころ祖父は亡くなり、

そして40代になった私は

父の死をきっかけに

相続を進めることになります。 

そのとき初めて登記簿を開いて驚きました。

「松崎町峰輪岩城○-○」 

「松崎町峰輪滝山○-○」 

……えっ、これって正式な地名だったの!? 

祖父の口癖と思っていた「いわぎ」「たけやま」が、

実際に登記上の地名だったんです。

こういうのを「字(あざ)」というんでしょうか。

ただ、相続しなければ、

正式な地名とは知らなかったし、

あからさまな耕作放棄地なので、

移住者などには絶対にどこのことかわからないと思います。

事実、私も区画の境界線がどこからどこまでなのか、

はっきりとはわかりません。

そうやって忘れられていく地名なのでしょうか?

実際、この峰輪地区の中にある地名(字)のほとんどを、

私は知りません。

「滝山」を「たけやま」と読む不思議

ちなみに、登記では「滝山」と書かれる地名は、

この周辺では「たけやま」と読みます。 

おそらく正式には「たきやま」でしょうが、

方言的な読みが昔から根付いているようです。 

近所に「滝の花(たけはな)」という屋号の家がありますが、

これも同じ読み方です。 

この“たけ”読み、

もしかして峰輪地区だけの風習なのでしょうか?

もし地名や方言に詳しい方がいれば、

ぜひ教えていただきたいです。

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